2010年8月26日木曜日

虫取り業界の光と影


先週捕獲したヘラクレスオオカブト。

コイツはビッグマネーになると喜び勇んで
区役所に持っていったところ、
様々な課をたらい回しにされた挙げ句
「海外の虫は管轄外」という理由で
買い取り拒否されてしまった。

このままではヘラクレスの持ち腐れだ。

できることならこの方法は使いたくなかった。
しかし状況が状況だ。
私は15秒程度の自問自答の末、ある決断を下した。

虫取り業界には正規の手続きを踏まずに
違法な昆虫を横流しする闇のブローカーが存在する。

虫取り生活10数年。
これまで虫取り協会が敷いたレールの上を歩いてきたが、
いつまでも優等生ではいられない。

食うため、生きるために
ちょっと道を逸れることがあっても
誰も私を責めることはできないのだ。

早速私は駅の掲示板にチョークでリアルな
蛾のイラストを描いた。

これが闇のブローカーと
アポを取るためのサインなのだ。

4時間ほどすると怪しいふたり組が現れ、
アジト的な場所へ連れていかれた。

ふたり組は私が持ってきた
ヘラクレスオオカブトをしげしげと眺める。
そしてイヤホンをしているほうの男が
吐き捨てるように「700円だな」と呟いた。

そんな!
ミヤマクワガタでも1000円を
オーバーするというのに……。
もうちょっと何とかならないのか!?

私が食い下がると
ふたり組のうちのひとり、ドクロの帽子を被った男が
私の胸ぐらをつかんで言った。

「おうおう! 月夜の晩ばっかりじゃねえぞ!!
 オマエん家の実家の郵便受け
セミだらけにしてもいいんだぞ!!」

なんということだ。
家族をヘラクレス禍に巻き込むわけにはいかない。

私は渋々700円を受け取り、
アジトを後にした。

裏社会の人間とは二度と関わり合うまいと
心に誓いつつ、今日はこの辺で横になることにする。

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