2011年2月17日木曜日

ゴムが濡れる臭い


月曜日の夕方から、なんだか
川端さんの様子がおかしくなった。

小刻みに震えたり、お粥を食べさせても
よく噛まずに戻してしまったり。

そして夜、降り出した雪は東京を
ホワイトシティーへと変貌させた。

どうやら川端さんの奇行は積雪の予兆だったようだ。

雪の降らない星からやってきた川端さんは、
初めて雪を見たときも興奮のあまりお粥を戻してしまった。

そしてお粥と引き換えに、雪雲の到来を
人一倍敏感に察知する能力を身につけたというわけだ。

雪が積もると、深夜にも関わらず
川端さんは外へ飛び出し、まるで犬のように走り回ったり、
ダイオードの用に発光したりした。

テンションが上がっている証拠だ。

そして一心不乱に雪を食べ始める。

雪には大気中の埃が豊富に含まれており
衛生的ではないが、それを咎めるような野暮な私ではない。

年に数回しかない非日常空間を、
川端さんには存分に味わってほしいのだ。

案の定、翌日川端さんは腹痛を訴え、
お粥を食べさせても戻してしまったが、
それもまたよき思い出となるだろう。

積雪により、大きくなった天窓の亀裂に鼓動を早めつつ、
この辺で横になることにする。

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