先日、伝説のレーサー、マンセル田中氏を インタビューする機会に恵まれた。 彼はうつ伏せで滑り台から滑り降りたときに 股間がムズムズしたことからスピードに目覚め、 そのときの感覚をもう一度味わうために ダルマを焼く仕事を辞めてレーサーを志したという。 そしてビッグスクーターで 峠を責める日々を送っていたところをスカウトされる。 その後の活躍は皆さんご存知の通りだ。 彼の目線は空走距離と制動距離を考慮して 常に2キロ先を見ているため、 インタビュー中に一度も私と目が合うことはなかった。 それ以前に彼は言葉をひと言も発さなかった。 音速の世界では、言葉など無意味。 言葉より先に全身で風を感じることによって、 小さな羽虫たちと分かり合うことができるのだ。 もちろん虫取り人である私も、 彼とは別のアプローチで小さな羽虫と分かり合っている。 別々の道を歩みながら 同じゴールにたどり着いた彼には、 股間の辺りにムズムズとするシンパシーを抑えられない。 巧みなハンドル捌きでまばゆいばかりに輝く 黄金の左に目をやられながら、 今日はこの辺で横になることにする。
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