2011年3月10日木曜日

スピードに愛された男


先日、伝説のレーサー、マンセル田中氏を
インタビューする機会に恵まれた。

彼はうつ伏せで滑り台から滑り降りたときに
股間がムズムズしたことからスピードに目覚め、
そのときの感覚をもう一度味わうために
ダルマを焼く仕事を辞めてレーサーを志したという。

そしてビッグスクーターで
峠を責める日々を送っていたところをスカウトされる。

その後の活躍は皆さんご存知の通りだ。

彼の目線は空走距離と制動距離を考慮して
常に2キロ先を見ているため、
インタビュー中に一度も私と目が合うことはなかった。

それ以前に彼は言葉をひと言も発さなかった。

音速の世界では、言葉など無意味。

言葉より先に全身で風を感じることによって、
小さな羽虫たちと分かり合うことができるのだ。

もちろん虫取り人である私も、
彼とは別のアプローチで小さな羽虫と分かり合っている。

別々の道を歩みながら
同じゴールにたどり着いた彼には、
股間の辺りにムズムズとするシンパシーを抑えられない。

巧みなハンドル捌きでまばゆいばかりに輝く
黄金の左に目をやられながら、
今日はこの辺で横になることにする。

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