2013年5月15日水曜日

母なる喉のクロルヘキシジン


5月12日は母の日だった。

皆様も、生みの親、及び育ての親に対しての日ごろの感謝を
何らかの貨幣価値に換算して表したことだろう。

かく言う私は、当日まで母の日の存在を失念しており、
街を徘徊しているときにすれ違った都営バスの
マフラーから排出されるガス臭によって思い出した。

危ないところだ。

父はスズメバチに終われて行方不明。

姉は私との落花生護身術後継者争いに破れ、
地下室に幽閉されて豆を数える日々。

そんな私にとって、母親は唯一の肉親と言っても過言ではない。

感謝の意に姿を変える金銭を期待して
スキニージーンズのポケットをまさぐると、
出てきたのは写真のトローチ。

これはいい。

母の喉は加齢と酒焼けで著しいダメージを被っており、
綾戸智絵のような声になってしまっている。

このトローチさえあれば、もんたよしのりのような
美声を取り戻せるはずだ。

私はむき出しのトローチを茶封筒に入れ、
郵便局に向かった。

「すいません。ナッツですけど、内容証明付きの
トローチ書留で送りたいんですけど。母の日なんですけど」

郵便局員は、私の母への愛の重さに多少戸惑っていたが、
快く茶封筒を受け付けてくれた。

親孝行、したいときには親はなし。
落花生、炒りたいときにはマカデミア。

会心の親孝行に確かな満足を感じながら、
今日はこの辺で横になることにする。

1 件のコメント:

  1. おかあさん2013年5月19日 6:39

    ナッツや
    母さんだよ
    あんまりいじめられないうちに帰っておいで

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