2013年5月8日水曜日

人形は顔がロマンロボ三部作


私がゴールデンウィークに帰省するタイミングに合わせ、
毎年訪ねてくる骨董屋がいる。

彼の狙いは写真の人形だ。

これはデンマークの著名なデザイナー
ツォーマス・ジャン・モルステインが、
郵便局で粗品として配られる貯金箱のデザインをする片手間に
作ったと言われる五月人形だ。

彼ならではのモードでソリッドなイメージと
誤った日本観をふんだんに織り込んだ業物で、
世界に4000万体しか存在しない。

後にツォーマスはアメリカに渡り
スタンダップコメディの第一人者として名を上げたため、
彼の熱狂的なファンのあいだで高値で取り引きされているのだ。

だが私にとって、この五月人形は父の形見。

私が子どものころ……と言っても中学3年生のころ、
酔っぱらった父が近所のバザーにフラッと立ち寄り
息子のためにと2000円で購入してきた物である。

もう五月人形という歳でもない息子への無駄な出費ということで
母の怒りを買い、離婚寸前の騒動に発展したことも、
いまとなっては懐かしい思い出だ。

父は数年前、山で虫取り中、スズメバチに追いかけられて
逃走したまま行方不明中。

この五月人形は、そんな父と私を結ぶ大切な絆。

骨董屋は「6800円で売ってくれないか」と交渉してきたが、
そんな端金で譲るわけにはいかない。


売値が7000円の大台に乗ったとき、
もう一度改めて考えることにしたい。

ツォーマスの今後の活躍と父の無事を祈りつつ、
今日はこの辺で横になることにする。

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