夏の高校野球も終わり、 球児たちは秋期大会の練習へとシフトする。 そして大人たちは若い才能を確保するために スカウトの目を光らせることになる。 私もこの時期、プロ野球に流れがちな逸材を 虫取りの道へとミスリードするために、 全国の高校を回るのが常だ。 そして、ついに見つけた。 ダイヤモンドの原石……いや、 アンモナイトの軽石と言っても過言ではない。 体幹のブレない投球フォーム。 ナチュラルにシュート回転する球筋。 空き缶にボールを当てて景品をせしめようという浅ましさ。 どれを取っても超高校級虫取り人の ニオイがプンプンする。 早速声をかけてみたが、 彼は高校卒業後に1年間のハワイ野球留学を経て、 最終的には空白の1日を利用して スクールバスの運転手になることが決まっているのだという。 やはりこの業界は青田の刈り合い、若い芽の摘み合い。 こんな逸材が放っておかれる訳はなかった。 万が一に備えて名刺だけは渡してきたので、 今後、彼の将来に対する漠然とした不安が 大いなる気の迷いを生じさせ、道を誤ることを祈るばかり。 虫取り業界の先細りに対する 私自身の漠然とした不安をかき消すために、 今日はこの辺で横になることにする。
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