先日、近所の大学に招かれて特別講義を行った。 これは虫取り人という日本古来の職人芸に スポットを当てることによって、前途ある若者たちに 「定職に就かないとこんな大人になってしまうかもしれない」 という危機意識を抱かせるための大抜擢だったようだ。 居眠りをする生徒やケータイをいじる生徒の前で たっぷり90分間、虫取り人を志したきっかけや いい虫取り網の選びかた、スズメバチの恐怖などに関して たいへん有意義な講義ができたと自負している。 ちなみに写真は、コスタリックニセタイコウチモドキの 交尾シーンを説明しているところだ。 昆虫に興味がない学生たちも、いざ交尾の話となると 好奇の目を輝かせていたところを見ると まだまだ日本も捨てたもんじゃないなと感じ、 胸及び大腿部をなで下ろすばかりであった。 ひとつ心残りがあるとすれば、 講義終了後、ひとりの学生に 「あなたにとって虫取りとは何ですか?」 と質問されたが、面食らって ニヤニヤしながら15分間ほど押し黙ってしまったこと。 家に帰ってふた晩じっくり考えたので、 改めてこの場を借りて質問にお答えさせていただきたい。 私にとって虫取りとは 自分が自分であることを証明する手段、 あるいは靴の中敷きのようなものである。 改めて自らのアイデンティティーを 再確認しつつ、今日はこの辺で横になることにする。
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