2013年2月9日土曜日

一生の素肌に



どんな職業にも職業病は付き物だが、
とりわけ虫取り人にはその症状が顕著だ。

常人がまだ眠っているあいだに起床し、
山へ入ってスズメバチやマムシに追い回される生活。

そんな過酷な日々を送っていると、
次第に耳の先は尖ってくるし、鼻の下の溝は深くなってくる。

骨盤が発達し、身体全体が丸みを帯びてくる症状も無視できない。

さて今回は、そんな数ある虫取り人職業病の中から、
私の指先を蝕む病魔についてご紹介したい。

虫取り高等テクニックのひとつに、
指先の力でクヌギの木の皮をずらす
俗に言うチョーキングという技術がある。

力ずくで木の皮を剥ぎ、冬眠中のメスコクワを
寒風に晒そうという企みだ。



写真では少しわかりにくいが、このチョーキングのやりすぎによって
虫取り人の指先というのはひとりの例外もなくカッチカチになっている。

虫取りフレッシュマン、いわゆるムシトレッシュマンは
慣れない指先の酷使に悩まされるが、
水膨れ→皮のめくれ→治癒→水膨れのループによって、
やがてポリカーボネイト並の強度を誇る指先を手に入れることになるのだ。

指先がカッチカチになってこそ虫取り道の始まり。
そして指先がヌッルヌルになったら一流の証。
ニチャニチャしたら即死。

そんな格言を、知らない酔っぱらいが口走っていたのを
聞いたこともあるくらいだ。

虫取り人の必需品、ニベアを指先に塗りつつ
教はこの辺で横になることにする。

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