2013年2月26日火曜日

インファント島よりの使者


今日、小美人に遭遇した。

小美人とは読んで字の如く、小さな美人のことである。

双子、あるいはルームメイトなどの
ふたりひと組で出現することが多く、
不思議な力で巨大な蛾を呼び寄せたり、
おじいちゃんにお粥を振る舞ったりする。


何しろ滅多に見ることができるものではない。

その存在すら知らずに生涯を終える者が大半であろう。

しかし私は出会った。

虫取り人の血が騒いだ私は
さっそく虫取り網で捕獲を試みる。

小美人が虫にカテゴライズされるかどうかは議論が分かれるところだが、
捕獲して区役所に持っていけば、相応の値段で買い取ってくれるに違いない。

私は虫取り網捌き四十八手の中から、
コクワ落とし、ヒラタ返しなどの大技を駆使する。

そんな網の目をかいくぐり、ひらりひらりと身をかわした小美人は、
私が将来に対する漠然とした不安を感じた一瞬の隙を突き、
声を揃えて歌い始めた。

これは恐らく、巨大な蛾を呼び寄せる儀式。
私は身構える。

しかし、ふたりは安室奈美恵の『TRY ME』をフルコーラス歌いあげると
LED蛍光灯の光にかき消された。

どうやら捕獲は失敗に終わったようだ。

今回の出来事を中年男性の白日夢として片づけるのは簡単だ。

だが、日本各地に伝わる小美人伝承が
21世紀の日本に何らかの警鐘を鳴らしていると
考える学者も少なくない。


彼女たちの存在を頭の片隅に置いておくことで、
地球温暖化、あるいはR-1ヨーグルトの買い占め問題に
一石を投じることができるのではないだろうか。

そんなこじつけで自身の見た幻を正当化しつつ、
今日はこの辺で横になることにする。

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