昨日、知り合いの社長と会ってきた。
彼は靴の中敷きをサイズに応じて切り分ける会社を経営しており、
この不景気にも関わらず羽振りがいい。
私にとってはタニマチ的存在で、
いつも缶コーヒーを買った後のお釣りをもらったり、
飴をもらったりしている。
そんな社長の家に招待されたのだが、
この日はいつもと様子が違った。
社長は非常に険しい表情で、
「何も言わずにこのヘッドギアを装着しろ」 と言った。
なんでも、このヘッドギアからはネコにしか
聞こえない周波数のお経が流れており、
上手くご先祖様とチャネリングすることによって
直接脳に750インチ相当の『お墓がない』(主演:岩下志麻)
が映し出されるというのだ。
私は慣れない頭の締めつけと、視界を遮られる恐怖で
何度もえづきながら、先祖の豆渋皮豆之進(初代)の顔を頭に思い浮かべた。
すると、どうだろう。
木魚のリズムが脳下垂体に浸透していくとともに、
眼前に 『お墓がない』(主題歌:小比類巻かほる)の映像が広がるではないか!
100インチ……450インチ……689インチ……ヤバイ!!
私は本能的に身の危険を感じ、ヘッドギアを外した。
これ以上のインチ数は、成人男性としての判断能力を著しく低下させる。
どうやら社長は私をインチ数の魔力によって洗脳し、
虫取り固定資産、あるいは虫取りタンス預金を奪おうとしていたようだ。
いままで飴をくれていたのも、すべては私を洗脳するためだったのだ。
私は社長と縁を切ることにした。
定期的な飴の補給が絶たれるのは痛いが
信頼関係が崩れてしまったら、もう元の鞘には収まらない。
新しいタニマチが見つかるまでは、
床屋の待合室で飴をもらって凌ぐことにしよう。
それにしても恐ろしいヘッドギアだった。
動物的勘及び植物的保湿成分に富んだ私だからこそ
途中で脱出することができたが、
常人だったらまるで映画館にいるような気分になっていたことだろう。
我が家の14インチテレビを一層小さく感じながら、
今日はこの辺で横になることにする。
社長と名がつく奴にはロクな人がいませんね
返信削除