4月の山開きまで1ヵ月を切った。
この時期、私は神社でお祓いをしてもらうことを
年中行事としている。
虫取り人の戦場である山には危険がつきものだ。
クヌギの木の崩落、スズメバチの脅威、マムシの毒、
コクワの挟み、幼虫のキモさなど、
数え上げればキリがない。
そんな数々の危険から身を守るためには、
フルフェイスヘルメットや安全靴などの装備を万全にしたうえで
最終的には神頼みしかないというのが現状だ。
今年も行きつけの"虫取りの宮不動尊"にインターネット予約をして、
お祓いの儀を受けてきた。
予約者は待合室に集められ、順番に名前を呼ばれる。
そして神主さんにお賽銭代わりの松ぼっくりやプルトップを手渡し、
対価としてお札をもらうという流れになっている。
帰り際、巫女さんが御神酒とガムを振る舞ってくれるのだが、
私は自転車の飲酒運転を避けるためにガムだけもらうことにしている。
しかし今年は巫女さんが
「御神酒ですから。ひと口だけですから」
と執拗に食い下がってきた。
そういうことならと、今年は川端さんに自転車の代行運転を任せて、
私は御神酒をいただくことにした。
だが、川端さんが運転する自転車の荷台に腰掛けると、
何やら様子がおかしい。
著しい蛇行、焦点が定まらない視線、激しく点滅する発光ダイオード。
どうやら川端さんも御神酒をたらふく飲んで泥酔しているようだ。
しかたなく、私は川端さんをカゴに押し込み、
自転車を引いて帰ることにした。
家に着いたら、全身に食卓塩を浴びるのが
お祓いの義の総仕上げだ。
これで今年も虫取り人として
盤石のシーズン開幕を迎えられることだろう。
泥酔した川端さんをシジミ汁に浸け置きしつつ、
今日はこの辺で横になることにする。
0 件のコメント:
コメントを投稿