川端さんが本格的に回復してきた。
以前のようにフンを撒き散らしたり、
壁に張りついて奇声を発するようになった。
元気に鳴くのは結構だが、ひとつ気になることがある。
私が住んでいるアパートの壁は薄い。
壁に耳を近づければ、
隣人が見ているテレビが何の番組かわかるぐらいだ。
向こうの音が聞こえるということは、
当然こちらの声も聞こえているということだ。
ペット禁止のこのアパートで川端さんを飼っていることが
隣人にバレやしないか、ずっと不安だったのだ。
そして今日、決定的な事件が起こった。
川端さんが壁に張りついて鳴いていると、
隣人が「うるさい」とばかりに壁を蹴るではないか。
川端さんの鳴き声は、
曇りガラスをスチロールで擦るような音だ。
果たして隣人は、この音が動物の鳴き声であることに
気づいているのだろうか?
大家に告げ口でもされたら厄介だ。
何か対策を考えながら、
今日はこの辺で横になることにする。
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