夏にふさわしい恐怖体験をした。 いつものように虫取りに出かけようとすると、 見慣れない少年が立っている。 この時点で、私はなんだか高層ビルのエレベーターに 乗ったときのような耳が詰まる感覚に襲われた。 霊的な磁場が形成されている証拠だ。 少年が、何やら怪しげなお坊さんが描かれたパッケージの ビデオを持っていることも、 オカルティックな雰囲気を増長させた。 少年は、蚊の鳴くような声で 「僕も虫取りに連れてって。いい場所知ってるから」 と囁くと、すり足で歩き始めた。 しかたなくついていく私。 どんどん人気のない山奥へと入っていく。 「ここだよ……」 少年が教えてくれた場所には、 大量のセミの抜け殻があった。 ふと振り返ると、案の定少年の姿はない。 「やっと見つけてくれたね……」 どこからともなくそんな声が聞こえてきた。 私は丁重に抜け殻を供養し、 どうか呪わないでくださいといった意味合いの 祈りを捧げてきたので安心だ。 しかし皆さんは、いまから20年のあいだに これと同じ内容の話を3人にしなければ よくないことが起こる可能性がある。 この話を無視してスニッカーズを食っていた Aさんは歯の詰め物が取れて、 いまでも歯医者に通っているという。 芸能人は歯が命。 虫取り人は歯が黄色。 そんなおまじないによって霊的なアレを 遠ざけつつ、 今日はこの辺で横になることにする。
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