今日、モヒカン師匠に会った。 モヒカン師匠とは、高校生のときに 教員用トイレを勝手に使った罰として モヒカン刈りにされて以来、 その機能美に魅せられて生涯モヒカンを誓った男だ。 モヒカンの世界では神様的な存在である。 緊張したが、思い切って近づいて声をかけてみた。 「モヒカンの魅力って何ですか?」 すると彼は目をつぶって、ひとしきり考えたあと 白目を向きながらこう答えた。 「このモヒカンは、いわば心のアンテナ。 いい噂も悪い噂も、全部ここに集まってくる。 情報の波に飲み込まれそうになったとき、 それに抗う精神力が養われる。 それがモヒカンスピリッツ、俗に言うモヒリッツじゃ」 正直、支離滅裂で意味が分からないし、 質問の答えにもなっていない。 しかし、道を究めし者のただならぬオーラと、 刈り込みの鋭さだけはひしひしと伝わってきた。 山と同化してナンボの虫取り人にとって、 あまりに目立ちすぎる髪型はタブーとされている。 だが、シーズンオフのいまなら、あるいは……。 頭頂部に一世一代の決心を刻み込みつつ、 今日はこの辺で横になることにする。
0 件のコメント:
コメントを投稿