虫取り人の髪型は坊主頭と昔から相場が決まっている。
険しい山の中を歩く際に、
長髪だと木の枝に絡まったりして危険だからだ。
かく言う私も、虫取り人を志した16歳の春から
ずっと自らの手でバリカンを操り、頭を丸めてきた。
愛用のバリカンは、父の代から受け継いだ物である。
親子二代で、もう50年は使い続けているだろうか。
長持ちの秘訣は、可動部分に油をさす代わりに、
クヌギの樹液を塗ること。
これだけでバリカン寿命が
10年~12年は延びると言われいているのだ。
そうは言っても、50年も使い続けると
さすがにガタがくる。
全盛期の切れ味はないし、なんだかへんな臭いもする。
酷い臭いだ。いや、本当に酷い臭いだ。
そろそろニューバリカンを
購入してもいい時期かもしれない。
来月分の食費を切り詰めて、
なんとか費用を捻出できないものか。
頭の中でそろばんを弾きながら、
今日はこの辺で横になることにする。
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