今日は体力を消耗しないように家の中でじっとしていた。
すっかり日も暮れた夕方5時ごろだろうか。
玄関のほうから何やら物音がする。
私は何か集金人的な訪問者かと思って
目をつむり、息を潜めた。
しかし呼び鈴も鳴らないし、ドアを叩く音も聞こえない。
私は警戒しながらドアを開ける。
するとどうだろう。そこにはビニール袋いっぱいの
食料が供えられているではないか。
中身は鮮魚に野菜、おしるこなど
栄養価の高そうな物ばかりだ。
しかし、なぜ私に……?
何らかの恩返し的なサプライズだとしても、
私は鶴を助けた覚えも地蔵に笠をかぶせた覚えもない。
もしかしたら去年の夏、ベランダにいたセミの死骸に
手を合わせて成仏を祈ったことと
関係があるのかもしれない。
何はともあれ、ありがたい。
正月に実家で食い溜めしてきた餅の満腹感も
ちょうど薄れてきたころだったのだ。
これで明日からの職捜しもがんばれる。
人の温かさ、セミのやさしさが心に染み入りつつ、
今日はこの辺で横になることにする。
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