国連のほうから来たという男に声をかけられた。 言われてみれば確かにそれっぽいTシャツを着ているが、 どう見ても目つきが悪い。 もしかしたら国連を語って私に接近し、 何らかの事件に巻き込もうという魂胆かもしれない。 私は用心に用心を重ね、尋ねた。 「国連のほうって、どっちですか?」。 すると男はおもむろに人差し指を舐め、 その指を天高く掲げる。 どうやら風向きを調べているようだ。 そして風上の方向を指差し、叫ぶ。 「あっちだ!」。 室内の微妙な空調の風向きを読み切るあたり、 どうやら信用できる筋の人物であることは 確かなようだ。 男は私に職務質問及び手荷物検査を行うと、 「最近物騒なので、何かあったらすぐ 国連のほうに連絡してよ」と告げ、 風下の方向に去っていった。 その後ろ姿を見て、 国際平和の維持は彼に任せておけば間違いないと 確信した。 私も虫取りを通じて反戦、反核を 世の中に訴えていくことを心に誓いつつ、 今日はこの辺で横になることにする。
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