ついに来た。 全知的生命体が待ち望んだ定額給付金が、 ついに振り込まれたのだ。 郵便受けに通知が届けられたのを 野生動物特有の嗅覚で察知すると、 私は銀行へ走った。 そして受付で 「ナッツですけど、定額を給付してもらいたいんですけど」 と言いながら虫取り協会の会員証を提示すると、 銀行員の方は丁寧にATMの使いかたを説明してくれた。 暗証番号を入力するコツがなかなかつかめず 20分ほど手間取ったせいで、 後ろに並んでいる人から罵声を浴びたりもしたが、 無事、こうして1万円札1枚と1000円札2枚を 手中に収めることに成功した。 さて、何を買おうか? やはり焼きそばか? ……いや、こんな大金を手にすることは滅多にない。 まずは1万2000円そのものを堪能するとしよう。 早速1万円札を手に取り、その手触りを楽しむ。 表面のザラつきが心地よい。厚みも十分だ。 通常の1万円札より、やや熱を持っているような気もする。 いやはや、この辺は定額給付金の面目躍如と 言ったところだろう。 とりあえず今夜ひと晩は そのフォルムや臭いを満喫し、 実際に何かを購入するのは明日以降にしようと思う。 1万2000円を枕の下に置いて、 今日はこの辺で横になることにする。
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