2009年6月26日金曜日

疲れ目に効く男


 
いつものように虫取りに向かう途中、
緑の男に出会った。

ちょっと尋常ではない緑色だ。
こういうヤツとは関わらないのがいちばん。

私は伏し目がちに小走りで緑の男の横を
通り過ぎようとした。

「待テヨ」。

緑色の腕が私の行く手を遮る。

「定額キューフ金アルンダロ? 出セヨ」

どうやら通りがかった人から通行料をせしめようという
悪質な輩のようだ。

弱い者を威圧し、かけがえのないマネーを奪う。
私はこういう輩がいちばん嫌いだ。許せない!

「い、いくらですか?」
私は震える声で答えた。

「全部ニ決マッテンダロ!」

私は肌身離さず持ち歩いている
定額給付金の入った茶封筒を差しだし、
逃げるようにその場を離れた。

走る。全力で走る。
しかしそのとき、私の口元には笑みがこぼれていた。

緑の男は茶封筒の中に
定額給付金が全額入っていると思っているだろう。

しかし私は、こんなこともあろうかと
定額給付金を分散させておいたのだ。

右の靴に10円、左の靴に10円。
私の手元には合計20円が残った。

これはもはや完全勝利と言っていいだろう。

緑の男が地団駄踏んで悔しがる姿を想像しつつ、
今日はこの辺で横になることにする。


●残りの定額給付金…………20円

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