今日、日本最古のパティシエと言われる人物に会った。 和菓子職人の家系に生まれた彼は、 '90年代後期、メープルシロップを舐めたことにより 北関東和菓子組合を追放される。 そんな保守的な和菓子の世界に嫌気が差した彼は 日本で初めて声高らかにパティシエ宣言を叫び、 ヨーロッパバニラエッセンス連盟は、これを受諾。 晴れて日本最古のパティシエが 誕生したというわけだ。 私はパティシエに様々な質問を投げかけた。 職人としての苦悩、和菓子への愛憎、メープルの誘惑。 しかし彼は自らの手で生クリームを絞る作業、 いわゆるセルフ生クリーメーションに集中していたため、 すべての質問は無視される結果となった。 彼はいま、極限の精神状態で生涯にひとつの傑作を 生み出そうとしている。 こうなったら、もう黙って見守るしかないだろう。 作品の完成には数日、 あるいは12年程度を要するという。 つぎの寅年のときに 私が何歳になっているかを計算しつつ、 今日はこの辺で横になることにする。
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