朝早く大家が訪ねてきた。 家賃の催促かと思い、一瞬下腹部に緊張感が走ったが、 どうやら今回は違うようだ。 なんでも4月から共同住宅に 鳥センサーの設置が義務づけられるということで、 その取りつけに来たらしい。 鳥センサーとは、 部屋の中への鳥の侵入、 あるいは窓の外からの鳥の接近を 報知してくれる精密機器。 内蔵のカメラでクチバシを認識して 鳥の種類を判別し、 それぞれに応じてバージョンの違う 『鳥の詩』が流れるのだ。 取りつけ作業は15分ほどで終了して 大家は帰っていった。 早速冬眠中の河畑さんを近づけて 様子をうかがったが、『鳥の詩』は流れない。 恐らく鳥センサーのデータベースに 河畑さんの属する種類が登録されていないためだろう。 あるいは冬眠中で仮死状態にあるため、 生体反応が認められないことが 関係しているのかもしれない。 これは結果オーライだ。 もしセンサーが鳴ったら、 害鳥駆除相談窓口に電話して 2000円の手数料を支払うまで 『鳥の詩』が鳴りやむことはないのだ。 河畑さんが冬眠から覚めても センサーが無反応であることを祈りつつ、 今日はこの辺で横になることにする。
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